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「子ども農山漁村交流プロジェクト」いやな予感

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夏休みが終わる8/31、総務、文部科学、農林水産が「子ども農山漁村交流プロジェクト」を発表しました。
子ども農山漁村交流プロジェクト(農水省)
  〃  (総務省)

子どもの自立心や社会性をはぐくむ教育効果と同時に、過疎化や住民の高齢化が進んでいる地域の活性化に役立てる…狙いということです。児童に農家などで1週間程度(!!!)の宿泊体験を義務化(!!!)するもので、具体的には、2012年度までに全国約2万3000の小学校すべてに拡大させるといいいます。

「子ども農山漁村交流プロジェクト」…今の政府は“風当たりがよさそうな”ニュース的懸案を、あれこれ考えず発信しているとしか思えませんね。もちろん私見ですが、この計画は非常に危険な要素を含んでいると考えられます。お役人は市場、学校現場やグリーンツーリズムの現状を見ていないのでは?

1:小学校のやりくりが困難な授業時間のなかで、どこにはめ込むのか?修学旅行を利用せざる得なくなる。そうすると、時期の一極集中化が指摘され、学校(保護者?)ニーズの高いタイミングでの開催をするとみられる。人気の農村へは予約が過密化し、本業への影響が懸念される。旅行代理店のビジネスチャンスにはなりえるが…。

2:均質的な“体験ニーズ”、しかも児童1〜4クラスなどに対応できるキャパシティーをもち、宿泊を受け入れることのできる農山漁村がどれだけあるのか?作り出せる(今から対応するの?)のか?大規模農家によってのみ投資できるチャンスとなる可能性が高くなるのでは?そうなると特定農家にとっては、想定していなかった収入源となりえるが、小規模で分散している受け入れ農家はどうか?真に交流を求める地域が、そこまでのキャパシティーをもてない場合、定期的な送客は実現しにくい。

3:体験型農山漁村を真剣に構築できれば別だが、「体験」を提供するというソフトそのものが、ますます“うそ臭く”なる可能性が指摘できる。マーケットニーズに応じた受け入れ農家とはどういう農家になるのか?観光農園や農業体験施設による、「かたちどおり」の体験サービスに陥りやすい。

4:安全対策が問われる。大丈夫なのか?それでなくとも修学旅行や自然体験にかかわる危機管理対策には、非常に甘いものがあり、それらノウハウの構築が、まさにいま、はじまったばかり。「ファームステイ保険」なるものも存在するが、受け入れ農家などの理解の低さからまだまだ認知度が低い。

兵庫県の教育委員会が3泊4日の自然体験を義務付けた後、稼動数の激減していた雪不足のスキー場周辺合宿施設や民宿がこぞって長期(3泊)自然体験を受け入れ、現在も最適な受け入れ先として、先生方の大人気施設となっています。
そこで見られるサービスは、YMCAや青少年団体が行うプログラムを無理やり3泊4日に引き伸ばしたもので、決して教育的価値の高いものではありません。
たとえば飯盒炊さんをはじめ、食後の食器洗いなどは“先生や児童はやっていただかなくていいですよ(笑)”というのが「ウリ」です。キャンプ体験と銘打って3時間かけてテントを設営・撤収する。もちろんそこでの宿泊は“危険なのでやらない”そんなところが受けてます。もちろん全てそうなるというわけではありませんが、大変危惧します。

でも、体験しないよりは“体験した方がマシ”なのか?

ちょっとこの「子ども農山漁村交流プロジェクト」については、要注意です。
もちろん、農業体験や民泊というグリーンツーリズムによって、農山漁村の存続、可能性を引き出していくことに成功している事例もあります。上の写真、大分県宇佐市・安心院(あじむ)は農泊のトップランナーとして、大いに健闘しています。
「新大分物語」公式サイト

「子ども農山漁村交流プロジェクト」…修学旅行と体験プログラムによって、地域・農山漁村がダメになる事例を作ることのなきよう、方向性を見誤らないでほしいです。なお、農山漁村でマーケットニーズを全てカバーできないケース、特に体験プログラムの未整備が想定できる場合、「カヌー体験」、「水遊び体験」、「川あそび体験」、「釣り体験」などアウトドア関連ソフトにも白羽の矢が立ち、同じように巻き込まれていくことが明確であることも付記しておきます。
思慮の少ないアウトフィッターたちや、地域振興寄りのメーカーなどは喜んで受け入れると思いますが…。

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